南アルプス 間ノ岳 行


8月13日

 長梅雨で天候が安定しなかった為,日程調整が上手くいかなかった。その結果,お盆の真只中に行くこととなり,仕事の都合もあって,18時の出発とした。結果的にはこれは良くなかった。仙流荘の駐車場に到着したのが深夜の1時半となってしまったからだ。更に,車の中での仮眠は2回に分けて2時間半程で,長距離運転後であるし体調は良くない。

8月14日

 大勢の登山客であったがバスは数台出てくれる。50分かけて北沢峠に。すぐに接続があって広河原へ向う。途中,車窓の右下に見える野呂川は魅力的だ。

 久しぶりの広河原だ。テント場が広くなっている。また泊まりたいものだ。

 8時に出発。大樺沢コースを行く。二俣までは順調に登る。ガスがかかって涼しく,気分・体調ともに良い。

 10時40分二股に着く。ここにはバイオトイレがあって,コースが分かれるところでもあり,格好の休み場だ。

 更に登って,上部二股あたりからだろうか,バットレスを登っている連中の声が聞こえてくる。ここからは傾斜が増してくる。

 その分心拍数が上がって苦しくなる。はかってみると144程ある。立止まって休むと平常にもどるが,歩けば増す。どうにも苦しい。コルが近づいて木の階段が連続する。脈とびが頻繁になってきた。調子は最悪だ。高度計からみてあと少しの登りなのだが,北岳山荘へトラバースするにしてもコルから頂上へ向かって20分程登るので,心臓に負担はこれ以上かけられず,その状態で翌日以降の登山も保障できないと判断し,他の登山者が登っていく後ろ姿を見ながら14時20分下山することにした。

 二股で休んだにしても,そこから3時間以上かかっていること自体まずいことだ。

 しかし,この下山は膝にきた。時刻的にも遅く,霧で暗くなってきているので道を外さぬよう注意した。雪渓の所は登ってきたので,迷うことはなかったが,気持ちの良い雰囲気ではなかった。ここで倒れたらビバークだね。ツェルトもあるし,面白いかも???

 二俣で広河原まで下るという女性に追いつく。広河原までは1時間半。御池小屋はここから水平な道で30分ほどだと伝えた。しかし,道は即登りとなり,その後も思った以上のアップダウンが続いた。彼女もその後追いついてきたが,彼女からも遅れに遅れ,へばったうえでようやくテントサイトから小屋に到着した。

 この御池小屋は数年前に北岳に登ったときに立ち寄った場所だが,その時にはプレハブだった。なんでも,春の雪崩で潰れたとのことだった。綺麗な小屋で泊まる予定で行ったのだが,そのまま肩の小屋まで上がったのだった。今回は,新築なったその御池小屋に泊まる。

 スタッフは若く応対も丁寧だ。食事も良かったのだが,バテ過ぎて残してしまった。申し訳なかった。

 小屋内部は中部屋がいくつもあって,清潔感がある。ただ,気密性が高いので,混んでいると,暑苦しい。戸を少し開けて寝ることで事なきを得た。また,不運なことに隣に2人の鼾かき登山者が寝ていたのだ。2時間眠れなかった。けれど,ふと思って自分のことに集中したら,気にならなくなって眠りに落ちることができた。そんなものだ。

8月15日

 朝食はお代わりをし,完食した。

 今日は下山のみなので,ゆっくりと食事をした。6時に出発。体力はかなり回復していた。休み休み順調に降りる。途中,60台後半の夫婦に追い抜かれた。ヘルメットをザックにつけていた。先生に教えてもらった岩登りが楽しく病みつきになったとのことで,御池周りにテントを張って夫婦で登ってきたらしい。男性の荷物は大きい。女性のザックもそれなりに大きいのだが,ストックも持たず,スタスタと下る姿には驚かされた。毎週山に登ってトレーニングしているらしい。以前は膝が痛かったとのことだが,そんな様子は全く感じられない。うらやましい。

 その夫婦に先んじて,7時半には広河原に降りることができた。ここで早めの昼食をとる。その後,バスの発車時刻の12時20分まで釣りができる。

 早速ロッドを準備して入渓する。数人の釣り人がいる。様子を聞くとそれなりには釣れているらしい。

 上流に向かうが,一度渡渉して登山靴を水没させてからは遡行を諦めた。それでも,何尾かはライズしてくれた。釣り上げられなかったけれど。小さいのだろう,くわえきれなかった岩魚もいた。しかし,それで十分だ。寝ころぶのに都合の良い岩盤上で,濡れた靴と靴下を乾かしながらころがった。空がきわめて青かった。

 本当は両股で釣りをする予定がそこまで行けずに,日程にも余裕ができてしまったので,北沢峠から少々降りた北沢でぎりぎりまで釣りをすれば良かったのだが,黒川での釣りも魅力があったので,そのまま仙流荘まで降りてきた。ところがだ,黒川には沢山の家族連れが水遊びをしているではないか。興が冷めてしまって,早々に岡山に向かって出発した。