南アルプス 両俣 行


7月23日

 今年は何と梅雨がスッキリと明けてしまった。そこで,天気がぐらつかないうちに出かけることにした。昨年失敗した夕方出発を避け,午前2時前に出た。早朝は得意とするところだ。

 順調に眠気もなく10時前に仙流荘バス停に到着。早朝割引で,高速代は5050円であった。これまたラッキー。

 10時5分のバスに乗り,北沢峠へ。ここから林道12kmを徒歩で歩く。11時発。出合いまでは下りなので楽ではある。

 出合いからは原則登りなのだが,時にせっかく稼いだ高度を失う下りもある。大きな沢を渡るときがそうだ。小仙丈沢や大仙丈沢を渡るときがそうだ。小仙丈沢は12時35分に渡る。水場は豊富なので有り難い。

 同じバスに乗っていた3人組に追い越された。速いペースだ。もっとも私が遅いだけなのだろうが。

 雑誌に載っていた「両俣小屋まであと43分17秒」という標識がある所は,前白根沢出合いだ。13時30分着。

 クネクネ歩いて林道終点に着いたのは14時7分。なかなかハードだった。トレーニング不足だね。

 林道終点で野呂川の川原に降りて歩く。最初のところがこのプールだ。帰りにここでライズしていた岩魚を釣った。いやいやいい渓だ。

 以前は小屋まで車が通れる道が付いていたようだが,あちこちで土砂崩れで寸断されていた。小屋に着いたのが14時45分。北沢峠から3時間45分ほどかかった。

 テント場は渓沿いの道を幅広くした感じ。30張りは張れそうだが,私がいたときは3張り程度。私のテントはこの緑のもの。

 あまりに暑い林道歩きでビールがうまく感じられ,ついでに持っていった酒まで飲んでいい加減酔ってしまった。明るいうちに飲む酒は美味しい。

7月24日

 飲み過ぎて起きたのが4時30分。朝食を食べて出発したのが5時30分。体調はすこぶる酔い。

 川沿いに歩いて登りに入るところで,道を間違えた。行き過ぎたのだ。道を失って戻って事なきを得た。

 ここが一番の急登。そうでもなかったのだが.....

 1時間少しで野呂川越え。仙塩尾根の途中だ。基本的に緩やかな登りの樹林帯で涼しい。所々で展望がある。

 小さいけれど,ピークがたびたびあるので,下りもある。それが辛い。天気はすこぶる良い。

 森林限界を出て,灌木帯になった頃から登りは急になり,それなりに尾根はやせてくる。鎖場が一カ所あったものの大したことはない。

 10時を過ぎても最高の展望だ。仙丈や三峰岳,塩見がよく見える。悪沢と荒川岳が塩見の向こうに見えてきた。

 時間はそれなりにあったが,水が無くなってきた。1.8L持ってきていたが,消費量から考え,来た道を戻るとなるとあまり間の岳に拘るのは得策でない。仙塩尾根の途中で水が切れたら嫌な感じだ。

 ということで,三峰岳を越えて,高度計で3000mを越えたのを確認してから戻ることにした。もう充分。それに,間の岳手前の大きなピークを越えるのは(横切るのだろうが)無理! という気分だったのだ。

 11時30分頃に下り始めたが,まだ天気だ。北岳が見えた。甲斐駒はずっと見えている。

 下り一辺倒ではなかったが,野呂川越えには14時頃。40分ほどで小屋に戻ることが出来た。水は丁度なくなっていた。

 今晩は,ビールは1本に留めた。

7月25日

 今日は帰る日なのだが,釣りをすることにした。入漁券も買ってあるし。これについては,こちらを参照して欲しい。

 釣りは9時40分には切り上げることにした。

 帰りの林道では,甲斐駒が見えていた。途中甘酸っぱいイチゴの香りがしていた。ノウゴウイチゴかな? 塩見でも見かけた。こんなに甘酸っぱい匂いがしていたら,熊がやってくるのでは? と心配してしまった。

 バッチリ決まったフライマンに追い抜かれた。このフライマンは途中の川原に天幕を張っていた。両俣では小屋に泊まっていたので,身軽になって遡行し,小屋泊まりを決め込んだのだろう,賢いやり方だ。

 遙か下方には堰堤下の大型岩魚の気配が感じられるが,あそこまで降りたくはない。

 クネクネと林道を歩いて,出合いのバス停に12時前に着いた。荷を降ろして時刻を確かめようとしたら,広河原方面からバスがやってきた。臨時らしい。うまい具合のそれに乗ることが出来たし,北沢峠では,やはり臨時が出て,予定より1時間早く仙流荘に着いた。

 とてもゆったりした仙人暮らし。来年も,今度は釣りがメインの両俣行になりそうな予感がする。