北アルプス 穂高岳 行


8月28日

 今年の夏も行事が妙な具合に分散して日程調整がうまくいかず,ギリギリの最終週に出発となった。暑すぎる夏とあって,体調は昨年同様既にばてていた。

 今回は夜に出かけた。上高地にはできるだけ早く着きたかったからだ。上高地から初日のテント場である涸沢までは7時間。上高地には遅くとも9時までには着きたい。

 夜8時頃に出発して直ぐに高速に乗り,眠気もなく順調に進む。途中黒丸PAで3時間の仮眠。涼しかったのが幸いだったが,神経が高ぶって寝苦しかった。その後は快調だったが,ひるがの高原辺りでどうしようもなく眠くなったのでSAで仮眠。今度はぐっすり眠った。5時半頃に起きて飛騨清見に向かう。高山を経由して平湯。アカンダナ駐車場には7時半頃に着いた。平日とあって駐車場は半分ほど。

 7時50分発のシャトルバスに乗って上高地に向かう。バス賃は往復で2000円。ほぼ30分ごとにバスは出る。途中,焼岳や大正池などを通り過ぎる。自然遊歩道が整備されているので,それを目当ての人達も多い。

 上高地バスターミナルには8時半頃到着。登山届けを出して,梓川の上流へ向かう。程なく河童橋。吊り尾根は雲の中だ。観光客も多いのでそのまま通り過ぎる。
 広い小梨平キャンプ場を通る。雰囲気の良い場所だが,一般キャンパーも多いので,落ち着けなさそうだ。

 平坦な道を進む。深い森を通ったり,清冽な流れの梓川に近づいたりしながら歩いて1時間ほどで明神に着く。このコースは1時間毎くらいに小屋があり休憩できるのでペースがとりやすく歩ける。

 さらに一時間歩いて,徳沢着。ここにはテント場がある。このテント場は広く,草地になっており快適そうだ。

 さらに林道を行く。だんだんと観光客は減っていくものの,最後の横尾まで歩く人もいる。

 横尾には11時半頃に到着。槍ヶ岳方面と涸沢方面との分かれ道がある。上高地から3時間なので,大休止する登山者が多い。テント場も広くて利用価値がありそうだ。今回も,未明に出発した場合にはここで幕営を予定していた。

 ゆっくり休んで,足を乾かした。昼食を摂って12時に吊り橋を渡って涸沢に向かう。屏風岩を左に見ながら進む。

 それなりに登りがあったが1時間15分ほどで本谷橋に到着。

 渡ってからが登りになる。吊り橋の直後が一番の登りだ。その後は,涸沢までなだらかな登りが続く。とはいえ,上高地から歩き通しなので疲労が溜まっており,長距離運転の疲れも出て,登りが応える。

 最初に見えるのが穂高山荘。それから涸沢ヒュッテ。見えるのだがなかなか到着しない,と書いてあったな。確かに見えたところから,ヒュッテに到着するまでに1時間以上かかった。

 ヒュッテ下の雪渓を横断してヒュッテに到着する。16時10分だ。横尾から4時間以上かかってしまった。

 暗くなるのが早い季節になっているのだが,天気も安定しているので,のんびりする。テント場は岩だらけだ。幸いに空いていたので一人用のスペースを上手い具合に発見した。小石をどけると背中に心地よさそうな土の面が出てきた。中央のオリーブ色の小テントが我が家だ。ペグが刺さらないので,細ひもで大きな石にくくりつける。適当な岩は無数にあるので困ることはない。

 ただ,トイレは小屋のものを利用するので,少々遠い。夜のトイレ回数が多い私のような者には不便だ。

 夕食の材料とストーブ,コッフェルを持って小屋の前のテラスに向かう。水場が若干遠いので,テラスでの自炊が便利だ。用意する間に缶ビールを開ける。風もさほど無く天気が安定しているので,のんびりできる。

 6時前に全てが済んで気分もホロホロになってきたので,テントに戻り寝ころんでいたら寝てしまった。目覚めたのが9時。トイレに行くが,石畳なのと,暗いので歩きにくい。用を足して帰りに気づいた。マイテントへの戻り方が危うい,分かりにくい。どうにか迷わず戻れたが,目印がいるな。

 2度目に起きたのが2時頃。今度は下弦の月が出ていたので明るく幻想的な景色が広がっている。テラスに寝ころんで星を見ていた人もいた。持っていったデジカメで撮影したが,不十分な出来だ。LUMIXを持ってくれば良かったな。次回の課題としよう。

8月29日

 残念なことなのだが,昨日に連絡があって,登山を中止して帰岡することにしていた。涸沢は携帯電話が通じるのだ。厄介だ。

 5時に起床した。絶好の好天だ。帰るといっても,どう頑張っても着くのは夜なのだから,のんびり出発すればいい。

 朝からビールジョッキで飲んでいる人がいる。羨ましい。

 朝日が出てきて穂高連峰を染め上げる。登らなくてもこれで充分だな。

 北穂への道が見えている。なかなか急坂だ。

 日が高くなると,この青空だ。名残惜しくなってきた。せめて穂高山荘までは登りたかった...壁のような傾斜だけど。

 東の方には大天井方面が見える。穂高をバックに記念撮影をして下山開始だ。6時40分。

 ストックを1本しか持ってこなかったのは痛かった。左膝と右踝などが痛くなってきた。左足裏にマメが出来つつあるようだ。

 9時10分横尾山荘に戻ってきた。早速ビールで下山終了のお祝いだ。といっても,ここからまだ3時間は歩かなければいけなかったのだ。左足裏のマメを放っていたので大きくなってしまったようだ。歩きにくい。

 結局,上高地から涸沢まで片道17kmを行って帰っただけになってしまった。空は,既に秋の雲だ。人生最後の夏休みが終わった.....