塔ノ岳登山


 丹沢へ行って来ました。15年ぶりです。大倉尾根を往復したのは訳があって,最後の記念に登ったのが大倉尾根でしたし,時間が一番短くてすむのがこのコースだからです。若いころには,2時間ちょっとでした。百名山としての丹沢は,丹沢山という独立峰でなく丹沢山塊として考えているらしいので,この3週間,百名山巡りをしたことになります。否,むしろそれだけ百名山の選択眼が正しいということになると思います。


 塔ノ岳頂上に登ったとき,繊細な瞳をした20歳前後の単独女性がいました。(おじん趣味なんだから!)きっと,繊細すぎて単独なんだと思います。でも,大衆登山としての山登りもあるんですけれど,哲学的な思考と社会を振り返る手段としての登山もあるということを自信を持って主張したいと思います。私がそうでした。若い女性の身だとなおさら大変ですが,良き答えを見いだされることを願っています。頑張れ!


 9時10分,渋沢駅に降りてびっくり。モダンになりましたね。駅前のコンビニで食料を調達し....朝早く宿舎を出て,急ぎに急いだので9時を廻ってもまだ朝を食べていなかったのです。(結局今日は2食だった)道筋は変わっていませんでした。大倉に着くと,そこは大倉でした。公園とか大きな釣り橋ができていたようでしたね。

 いつもの道をしばらく行くと,「熊に注意」という看板がありました。丹沢にはまだ出るんですね。勘七の沢あたりのようです。この方面に向かわれる方ご注意を!昔よく釣りをしたがな,危ない危ない。

 心臓と右膝に注意しながら,ゆっくり登りました。このあたりは昔は赤土の細い溝状になって登りにくかったのですが,大きめの石で埋めてしまいましたね。この針葉樹帯が長くていらいらしたこともありましたが,今日はマイペース。雑念を振り払うには丁度いいところです。ほどなく,雑事場平。大倉尾根は,きつい登りが何回か繰り返され,その間に適当な平らな部分と小屋があるのでペースをつかみやすいコースですね。

 最初の大きな登りの根元にあるのが見晴し小屋。小屋の前だけは見晴しが良くて,きっと夜景が奇麗だろうな。

 石や階段の登りが続きます。大倉尾根は登りがきついといいましたが,そのきつさのために,赤土が流失してしまいます。また,最近の登山ブームで,登山者に削り落とされるのも多いでしょう。それで,「もみじ」を植林したり,階段を作ったりしているようです。階段は登りはともかく,下だりはきついですよね。でも仕方がないか。

 頑張って登るとそのうち一本松。もうすぐ大展望だ....なんだって!杉林で見えないじゃないか。そりゃそうだ。あのころ杉の苗を植林してたっけ。15年でこんなに大きくなるんだ。大倉尾根は,往年の眺望のよさがなくなっていました。できれば雑木にしてほしかったな....今でも杉材を生産しているんだろうか?かろうじて三ノ塔が見えました。

 ここもしばらく平らなところが続き,駒止茶家への登りが始まります。欝蒼たる杉林です。もっと空が広かった。笹と幼い杉が左側に生えていて,その中を主に下山時にくだる径がありました。

 小屋からは展望がないので,右に踏跡を分けて行くと眺めの良いところに出ます。ここでようやく朝飯タイム。

 再び平らな道を行くと,小さなこぶを越え富士山が良く見えるところに出ます。さらに小さく下だります。この辺はこんなに尾根が痩せていましたかね。そのうちキレットになってしまうのじゃないかな。

 少々登り返すと堀山の小屋に着いて,二股からの登山道をあわせます。この登りを登って来た登山者に多く会いました。きっと二股に車を置いて,塔ノ岳を登った後,鍋割山に回って戻るという周回コースを取るつもりでしょうね。

 再びここからきつい登り。まあ,登山なんてのはひたすらゆっくり,ひたすら我慢していれば着いてしまうもんですから。ということで小梨平。

 しばしゆっくりして,再度の登り。この登りの途中から木が少なくなって,展望が開けてきます。上空をパラグライダーやハンググライダーが飛び交っていました。どこから飛び立って,どこへ行くんだろう?昔ながらの大岩を過ぎて花立着。この小屋も立派になりましたね。途中,多くの試験植林がありました。ブナやミズナラなどです。大きく育つといいですね。登山者のマナーも必要とされるところです。

 小屋の脇に仏像がありました。昔からあったんでしょうね。初めて見た?かな?

 花立から少々登ると花立の頭です。眺めは最高360度。ただ,ロープを張って草花を守っているのに,みんながその中で休憩してました。気持ちはわかるけど,マナーは守りましょう!

 ここからキレットになります。金冷やし。ちょっと名前が....いや,いい名前です。鍋割山への径を左に分けて,塔ノ岳へは15分ほど。最後のきつい階段登りを終えて,1491mの頂上に着きました。3時間35分というところです。

 頂上は沢山の人出です。ついでに鹿も来ていました。餌を貰えるからでしょう。眺めは最高なのですが,雲が出て来てしまいました。またいつか来てみましょうか。17年後くらいに。


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